映画『砂の器』(1974年)を見ました。殺人事件を解決するミステリーだと思っていたら、ハンセン病差別の話でした。映画としてはよくできていますが、いかにもな映画でした。主役の刑事は丹波哲郎。丹波哲郎、いかにもすぎて好きではありません。捜査に行く先に、花沢徳衛、笠智衆、菅井きん、春川ますみ、渥美清など、いかにもな面々が山盛り。刑事役の丹波哲郎と森田健作が旧型客車に乗るシーンに惹かれますが、鉄道のシーンもいかにもでした。
羽後亀田での捜査の帰り、羽後本荘で急行鳥海にのりかえます。ニス塗りの旧型客車の列車から12系客車と思われる列車へ。2人は食堂車にビールを飲みに行きます。食堂車だけセットっぽい。内装から察するに、食堂車(のモデル)はオシ17。12系客車と10系客車の編成に食堂車があるのに違和感を感じました。よく見ると、12系だと思った車両は窓配置から、457系電車のようです。走行シーンは客車列車なので、12系に見える車両で車内のシーンを撮影したのでしょう。
次は亀嵩に行くために乗る特急まつかぜ。走行シーンはキハ80系。丹波哲郎が鳥取駅のホームで新聞を買うシーンではキハ28に化けます。ご丁寧に、「まつかぜ」「大阪-博多」「特急」のサボが入っています。車内のシーンもボックスシートなので急行用のキハ58系のはず。でも、走行シーンはキハ80系。なぜ、キハ58系用のサボまで作って撮影したのか。ロケ当日はキハ58系が代走していたとか?
今は走っていない国鉄時代の車両が映画に残っているのは嬉しいです。だからこそ、ちゃんと残してほしかった。事件は昭和46年、12系が定期列車に使われるようになったのは昭和48年のはず。映画公開は昭和49年。漠然とした急行をイメージしたのかもしれません。でも、字幕で急行鳥海と入れちゃってるし。事件のあった日付も。私だって、気付きたくなかった。でも、これだけやられたら無理。嘘はいかんよ。
食堂車には、加藤剛演じる音楽家もいます。不自然すぎて、この音楽家が犯人に決まってる。2人の刑事は、食堂車でビールだけ頼んで持ち込みの駅弁を食べています。当時は持ち込みOKだったのだのでしょうか。なぜ、違和感のあることばかりするのでしょう。昔の映画のこういう雑なところが、気になってしまいます。そもそも、鳥海に食堂車ってあったの?
2024年4月22日